【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「俺のこと見てたのは事実でしょ?」
「そ、それは……っ、そうだけど。変な意味とかじゃなくて、せっかく隣の席になったからで……」
「ほら当たり。いつも視線感じるし。それに、羽澤って意外とお喋りだよね?」
確かに観察してるのもホントだし、咲希ちゃんに、一方的な自分の考えを話してしまったのは紛れもなく事実。
「ちょっ……」
正面に立った葉月くんの腕が、すっと私へと伸びてくる。
な、なに……?
葉月くんの骨ばった細い指が、私の顎をつまんだ。
「あの……っ、」
私はどうしたらいいのかわからなくなって、慌てて目を泳がせる他ない。
「俺のこと、あんまり教室でベラベラ喋らないでくれる?」
「……っ、」
頭上から降ってきたどこか楽しげな葉月くんの低い声に、弾けるように顔を上げる。
息を吐くように薄く笑った葉月くんは、硬直した私を熱心に見つめたまま、グッと顔を近づけてきた。