【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「強引でごめん」
ほぼゼロに近い距離で、葉月くんがポツリと呟く。
そっと見上げれば、素顔の葉月くんの顔はとても近くて……。
「羽澤が泣いてる気がしたから、近くで顔見たくなった」
「え……、」
泣いているわけじゃない。
けど、泣きそうになってしまったのは本当で、でもそれは後藤くんが……というわけじゃなくて。
上手く言葉に出来ず、葉月くんの探るような大きな瞳から目を逸らした瞬間。
「……っ、あ、あの、葉月くん?」
コツンと、葉月くんが私におでこを合わせてくる。
「いつも俺が誤魔化すと怒るくせにね?」
「それは……っ」
ちょっと意地悪に葉月くんが笑みをもらす。