【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「はい……そうですけど」
「最近、あなたと湊音が付き合ってるという噂を聞いたのだけど、何かの間違いなんでしょう?」
硬い声で問いただされ身体に緊張が走った。
「……もちろんその噂なら、誤解です!」
「でしょうね。湊音が誰かに好意を寄せるわけないもの。特にあなたのような頭がスカスカな女子には」
スカスカ……。
葉月くんの幼なじみである東條先輩は、私よりも葉月くんのことを知っているのは当然で。
「どうして湊音と関わろうとしてるの?」
「えと、それは隣の席になったのをきっかけ……」
「隣の席だから、なんて理由で済まそうとしてるの?」
鋭く制されて、最後まで答えさせることも許してはくれなかった。
「ハッキリ言うけど、湊音に深入りしないで」
「……」
「湊音はひとりでいたいの。あなたには意味がわからないと思うけど、それは湊音のためなのよ」
ひとりでいることが、葉月くんのため……?
本当にそうなんだろうか。
「どうして……ですか?」
「知る必要がある?」
東條先輩は、私を射抜くように見ると冷笑した。