【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡


* * *


午後の授業は文化祭準備と劇の練習が行われた。


各自の役、係の仕事をこなす中、葉月くんは相変わらずひとりで、木の役には台詞もないのに台本を読んでいる。


私はというと、看板作りの仕事も全く身に入らなかった。



「“この宝石を身につけるだけで、どんなブスも隠せると言われているんだよ”」



そんなものはない……。

どんな台本よ。

咲希ちゃんのプロ顔負けの迫真の演技に「経験者か……?」と、クラスの人が声をあげる。



「琴莉?まだ東條先輩とのこと引きずってるの?」



練習を終えた咲希ちゃんが窓際へとやってくる。



「薄情者ーー!」


「あぁ、朝はごめんってば!指名手配犯ばりの極悪な顔してたから怖くなったのよ」



そこは救いの手を延べてほしいもんだよ……!!

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