【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
* * *
ぐぬぬ……重い~~~!!
放課後、ジャンケンで負けた私は、看板作りの小道具や材料を詰めたダンボールを二つ重ねて準備室へと運ぶ。
咲希ちゃんは深夜配信があるから帰って仮眠をとるとかで、高速で下校……。
もう二の腕はぷるぷるだ。
その時、前方からジャージ姿の彼が歩いてくるのが狭い視界の中で見えた。
……飛鳥くんだ。
きっとこれから部活にいくのかな?
「ひとつ持つよ」
……と。
すれ違うか否か、飛鳥くんの声を耳が拾う。
すっ、とダンボールをひとつ持ってくれたおかげで、腕が救われた。
「ありがとう……っ」
「こんなの女子だけに持たせるなんて、羽澤のクラスの男子は優しくないね?」
スポーツバックを斜めにかけた飛鳥くんは、そう言ってとびきり優しく笑った。
「ジャンケンで負けちゃって。ごめんね!飛鳥くん、部活があるのに」
「構わないよ」
ふたりで準備室へ向かいながら、私は葉月くんのことを話そうか迷った。