【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡


「部活……大変?」



だけど、巡り巡って出てきた言葉がそれだった。



「今は楽しい。モチベが高いから」


「……今は?」


「うん。俺、高校入ってからずっと跳べなくて。スランプとは違うんだけど、気持ちが入んなかったんだ」



ダンボールを抱えながら横目で飛鳥くんに視線をスライドさせる。


伏し目がちな飛鳥くんの瞳はどこか悲しげに見えた。



「でも、今は跳べるようになった。だから……」



飛鳥くんが声を詰まらせる。

答えを待っていたけど、飛鳥くんは何も言わなかった。


そのまま準備室へと入って、ダンボールをテーブルの上に置くと、飛鳥くんの顔がようやくハッキリと見えた。



「……葉月は、相変わらず?」



物悲しく笑う飛鳥くんに私は相槌を打つ。



「そっか。入学してすぐ、アイツのこと聞いたんだ」


「葉月くんのこと?」


「……陰キャ総選挙第一位って」


あ……。

< 155 / 321 >

この作品をシェア

pagetop