【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「部活……大変?」
だけど、巡り巡って出てきた言葉がそれだった。
「今は楽しい。モチベが高いから」
「……今は?」
「うん。俺、高校入ってからずっと跳べなくて。スランプとは違うんだけど、気持ちが入んなかったんだ」
ダンボールを抱えながら横目で飛鳥くんに視線をスライドさせる。
伏し目がちな飛鳥くんの瞳はどこか悲しげに見えた。
「でも、今は跳べるようになった。だから……」
飛鳥くんが声を詰まらせる。
答えを待っていたけど、飛鳥くんは何も言わなかった。
そのまま準備室へと入って、ダンボールをテーブルの上に置くと、飛鳥くんの顔がようやくハッキリと見えた。
「……葉月は、相変わらず?」
物悲しく笑う飛鳥くんに私は相槌を打つ。
「そっか。入学してすぐ、アイツのこと聞いたんだ」
「葉月くんのこと?」
「……陰キャ総選挙第一位って」
あ……。