【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「自分で奪っておいて、なに驚いてんの?」
動揺を隠せない私とは裏腹に、葉月くんは微動だにせず、涼しげに私を見つめている。
余裕さえ感じさせる。
「だ、だって……っ、」
こんなの卑怯にも程がある……。
光沢ある黒くて長い前髪の下に隠れていたのは、色素の薄いブラウンの瞳。
驚きに染まった私を映す二重の切れ長の大きな瞳は、どこか挑戦的で、目を奪われる。
間近で見たせいか、それこそモデルさん?と私が思うのも無理はないだろうってくらい鼻筋も綺麗だった。
どっからどう見ても、整ったとしかいいようのない葉月くんの端正な顔に、私はしばらく釘付け状態になる。
咲希ちゃんが知ったら、「地蔵などと言った覚えはございません」なんて手のひらを返して言い出しそうだ……。
じわじわと耳まで熱くなって、動悸がおさまらないことに焦り出す。
実際、真のイケメンを目の当たりにすると、私のような免疫のない女子は言葉にすら出来ないみたいだ……。
「予想と違った?」
なんて……イタズラっぽく答える葉月くんを直視出来ない……。