【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「どんなとこ?」
「……え!?どんなとこって、クラスのみんなのことよく見てるとこ!それに、咲希ちゃんがイケメン好きやSNSが大好きってことも把握済みだったし。もちろん頭がいいだけじゃないの!運動は手を抜いてるから……来年の体育祭では本領発揮してほしいくらい!きっと優勝間違いないよね!それに葉月くんは、何より人の気持ちのわかる───っ、」
ついつい次から次へと湧き上がる葉月くんのいいところを知ってもらいたい一心で、白熱して伝えていたら、正面の葉月くんと視線が見事に合って。
「こ、これは……あくまで個人の感想です」
頬杖をつきながら目を細く緩めて私を見つめる葉月くんに、かぁっと耳まで熱くなって、恥ずかしくなった私は言葉を濁す。
「……なに、葉月くん?」
それでもなお一向に私から視線を外そうとしない葉月くんに、ハッとした。
まさか、また口についてるとかじゃないよね!?
慌てて口の周りをティッシュで拭いたけど、今回は少しのミスもない。
「ざ、残念だけど葉月くん、今度こそは何もついてないよ!」