【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡


───結局。



「お風呂、ありがとう……」



一家の大黒柱でもないのに一番風呂まで頂いてしまった……。



「のぼせてない?顔赤いよ?」


「……全然!」


「ふーん」



本当は葉月くんのお宅に来てからずっと心臓が休まることなんてない。



「あの……葉月くん!私、何かするよ!お世話になってるし!」



そうだよ!

ご飯とお風呂まで頂いたんだから、ドキドキしてる場合じゃない。



「じゃあ背中流して?」


「は、い………?背中!?」



予想の遥か彼方を行き過ぎる発言に、必死に平然を装った私の努力など皆無だった。



「せ、せ、背中って言うのは……その、お風呂でのことで……っ、」


「冗談」



くっ……。

葉月くんのからかい上手にも程がある!



「そういうのは本当に一緒に住んでからお願いするよ?」


「なっ……」



絶え間ない葉月くんの策略にやられっぱなしの私を置いて、クスクス笑いながら今度は葉月くんがお風呂へと向かっていった。

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