【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「眠い?」
不意に顔を覗き込まれて、慌ててふるふると首を振った。
眠れるわけがない……。
当たり前だけど葉月くんの濡れた髪からは同じシャンプーの香りがして、ほんのちょっと落ち着いていたはずの鼓動は再び揺れ出した。
「え、葉月くん、なにそれ……?」
「ん。羽澤も食う?」
葉月くんの手には棒付きアイスが握られている。
「ううん!私はいい!」
デザートまで分けてもらうわけにはいかない。
「いいの?期間限定だけど?」
ふふん、と得意気に笑った葉月くんがアイスをチラつかせる。
ゴクリ……。
私を見ながらアイスを口に含んだ葉月くんの首筋には、ひとしずくの汗が流れて……。
「ひと口食べれば?」
「……」
「素直になんなよ?」
「じゃ……じゃあ、ひと口だけ!」