【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
うーんと唸っていたら、教室に着く手前で微かに葉月くんが笑った気配がした。
葉月くんは、ピッと軽く私のブレザーの袖を引っ張った。
「羽澤の寝顔見てたから、寝不足なだけ」
「っ、」
「気持ちよさそうだったよ?」
耳元で声を落とされて、ピシャリと固まった。
私の寝顔を!?
そのことに心臓は正直に反応して、みるみるうちに顔中が熱に包まれていく。
私より先に教室へ入っていく葉月くんは、まるで何事もなかったみたいにいつも通り。
どうすんの、葉月くん……っ。
しばらく動けないじゃん!
そんなことを葉月くんが言うから、私はなかなか教室の中に入れなかったのだった。