【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「そうなのか?俺はいいと思うけどなぁ」
「いい……?」
「そうそう。葉月とは話したことないし、アイツいっつも下向いてるけど。なんていうか、最近雰囲気変わったよーに見えるって感じがして」
葉月くんの雰囲気が……?
及川くんは、葉月くんに視線を送りながらニッと笑った。
「それって、羽澤と付き合ってからなんじゃないかって思ったんだよ」
私と付き合っているわけじゃないけど、葉月くんのことをそういう視点で見てくれる人がいるってことに、嬉しくなる。
及川くんが衣装合わせに向かったあと、教室の隅に置かれているゴミ袋をふたつ手に持った。
軽そうに見えたけど、これは意外と重い……。
「貸して?」
「あ……葉月くん!?え、大丈夫だよこれくらい!」
とは言ったけれど、ひょいっと私が掴んだゴミ袋を葉月くんがひとつ持ってくれた。