【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
*好きしか見つからない
今日の天気は朝から荒れていた。
青を失くした空は分厚い雲に覆われて、もう夜にすら感じる。
「はぁ……」
横殴りの雨風が吹きつけており、それはまるで秋の嵐だ。
「ちょっと琴莉!?どーなってんのよ!」
休み時間になるとすごい気迫の咲希ちゃんが、溜め息ばかりをつく私を教室の隅っこへと連れ出した。
「え、どうって……?」
「葉月と琴莉が別れたって、すごい噂じゃない!?」
「もう……別れるもなにも、付き合ってないんだよ咲希ちゃん!」
この噂をあと何度否定しなきゃいけないのか。
葉月くんに突き放されたあの日から、ずっとまとわりついていた例の噂が今度は一変して、ふたりが別れた!と瞬く間に駆け巡った。