【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
咲希ちゃんの指摘通り、私の心を重くしている原因は、やっぱりそこにあって。
葉月くんから突き放されてから一度も言葉を交わすこともないまま、無情にも時間だけが過ぎていく。
それどころか、葉月くんの瞳に私が映ることはただの一度もなかった。
それが、こんなに辛いなんて。
だけどきっと、葉月くんの方がずっと苦しいんじゃないかな……。
───“ 俺が見に行く資格がないってやつ ”
あの日吐き出された葉月くんの言葉は、本当の葉月くんの言葉だったように思う。
「わたしはね?葉月の観察だとか言って、なんだかんだふたりが近づいてってる感じとか。琴莉が笑ってるの見て、もしかしたら葉月っていい奴なのかもしれないって思ったりもして……っ」
「咲希ちゃん……」
「ま、まぁ……だからわたしだって、葉月と話してみてもいーかなって思ったりもしたの……っ」