【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「実はさ……探し物してるんだ。劇で俺が使う物なんだけど、失くしちまって」
及川くんがしゅんっと項垂れた。
劇で及川くんは王子役に抜擢されたわけだから、それはとても重要な物なんだろう。
「え?マズいわね。文化祭は、あと二週間後だし……」
「及川くんが探してるのって、どんな物!?」
「……ああ。それがさ、王子の王冠にはめ込まれてる宝石なんだ」
えっ、これぞまさに緊急事態だ……。
台本を読む限りその宝石でつくられた指輪を、最後に王子から小鳥へ、小鳥から姫へと届けられるのだ。
この劇では、なくてはならない物。
「ちょ……及川、心当たりは?」
「探した……他の奴らも手分けして探してくれたけど、まだ見つかってない。だからもし、青い宝石を見かけたら教えて欲しくて」