【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡


「お前といるとずぶ濡れになるわけ?」



久しぶりに聞いたその声に、たまらなく泣きたくなった。


微かに葉月くんが笑っている。


プールサイドの掃除を言いつけられた時だって、私が勝手に滑って落ちて、なのに葉月くんまで飛び込んできてくれて。



「っ、」



ダメだ……。

少しでも気を抜くと、涙が溢れてしまいそうになる。



「探してんの、これでしょ?」



動けずにいる私に、葉月くんが手を差し出して、そっと開いた。



「……っ、葉月くん、どうして……これを?」



葉月くんの手の中には、キラリと光る青い宝石がある。


あの子が一所懸命作ったものが、確かにある。



「クラスの奴らに聞き回ってる及川が、俺のとこにも聞きにきた」


「及川くんが……?」


「王冠つけたままゴミ捨てに行ったって聞いたから、もしかしたらって。ここ、天井低いだろ?」

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