【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「違います……!」
「いいえ嘘よ。嘘をついてるでしょう?」
ぐぬぬ……!
なんでだろうか、怖い気持ちを通り越してだんだん腹が立ってきてしまった……。
「今までどれだけ湊音が苦しんだと思ってるの!?何ひとつ知らない人間が、探るような真似をしないでって言ったじゃない!」
それは東條先輩も同じらしく、怒りのままに声を張り上げた。
「し、知らないから知りたいんです!もっといっぱい……葉月くんのことを知りたいです!」
「なっ……!?知りたいだなんて言ってるけど、本当は湊音の上っ面しか見てないくせに!」
さらに怒りを爆発させた東條先輩が私に掴みかかった。
ブレザーのボタンがひとつ吹っ飛んでいく。
「っ、……何するんですか!お母さんに怒られるじゃないですか!」
「うるさいのよ!もうこの先、湊音に関わらないって約束しなさいよ!今すぐして!」
「……い、い、嫌です!絶対嫌!」
「……はぁ!?何様よ?あなたに断る権利なんかないわ!」
権利なんて、誰にだってあるわけがない!
私は東條先輩の手を引き剥がそうとグイグイ押し返した。
けど、離すものか!と、さらに力を加えてきた。
なんて馬鹿力だ……!