【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
私も東條先輩もきっと体力の限界だ。
「なんですって……!?」
「……ど、どこがクールビューティなんですか!?詐欺ですよ詐欺っ!」
「湊音のことなら、断然……わたしの方が知ってるんだからね……」
ハァハァと息を切らした東條先輩がペタンと座り込む。
「マウント取らないでくださいよ……羨ましいじゃないですか…っ」
疲労感が半端なく押し寄せてきた私も、東條先輩の隣に同じように座った。
ブレザーも、内側に来ているワイシャツも、リボンもボロボロにヨレヨレだ……。
お互いに全力を出し切ったせいでヘトヘトだった。
すると、東條先輩は力を抜くように大きく息を吐いた。
「……湊音は、子供の頃からなんだって出来たわ。天才肌って奴なの。覚えが人一倍早くて、記憶力もずば抜けてよくて」
ゆっくりと、東條先輩が話し始めた。