【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
*見つけたよ、葉月くん
───ガラッ!
ハァハァと、呼吸も整わないまま、資料室の扉を開けた。
もう喉がカラカラでひっつきそうだ……。
「廃業にしたんじゃなかったの?」
こちらに背を向けて、窓の外を見ていた葉月くんが振り返る。
サラサラと風に流れる黒い髪。
顔を上げていて、メガネを外した葉月くんの瞳がとてもハッキリと見える。
そこに、素顔の葉月くんがいる。
「ハァ……ッ、は、廃業はまだ、しない……」
ふらふらしながらなんとか資料室の中に入る。
「なんでそんなボロボロなの?」
窓から離れて、私の元へやってきた葉月くんの声色は少し心配そうだ。
「実は……東條先輩と、喧嘩になって……っ」
「は?双葉と?」
「……ずっと、葉月くんは、苦しんできたから。だからもう、ひとりにしといてあげてって言われて。私……嫌だって反発して……」