【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
そう思ったけれど、葉月くんの視線は運動部が朝練をしている校庭に向けられていた。
葉月くんも、お日様の下で運動したいのかな?
ほんの少し校庭を眺めたあと、葉月くんは下駄箱へと向かっていった。
「おい葉月ー。早くどけよ。俺の靴が取れねーだろ」
「朝から辛気臭いな、お前は。壁と一体化しててもわかんねーぞ」
……好き勝手言われ放題だ。
本来の葉月くんの足元にも及ばないであろう顔面の男子が、文句を浴びせるけど当然無反応。
特に周囲を気にしている素振りもないし、気づかれたくないわけではなさそうだ。
残念だけど、この推理はハズレ……。
* * *
次に私が注目したのは休み時間の葉月くん。
「葉月くんどこ行くの……?」
ジッと観察していると、いきなり立ち上がった葉月くんに聞いてみた。
「む、無視!?」
結局、トイレくらいにしか行かなくて収穫なし。
けど、次の日の昼休みに、“裏”葉月くんが姿を現すことになったのだ。