【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡


自分という人間は、なんでも出来ると思ったことは一度もない。


ましてや、出来ることを驕った(おごった)つもりもなかった。


それでも、誰かが頑張ってきたものを俺が奪って、壊してるって知った時。


出来ることだって、出来ない方がいい時があるんだってことにやがて気づいた。



「わたし、ずっと練習してきたんだけど、今度の音楽会……また、葉月くんが伴奏やるのかな?」


「大丈夫だよ!いっぱい練習したんだから選ばれるかもしれないでしょ?」


「うん……」



俺の存在はいつしか誰かの心を重くして。



「挨拶週間の班長なんかやりたくないよ。先生だって、どーせまた葉月くんばっかり褒めるもん」


「だな?葉月がやればいいだろ。頑張るだけ無駄なんだから」



諦めに繋げてしまう。

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