【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
様子をうかがうみたいに、引き攣った笑顔で俺と接するようになったクラスメイト達。
「湊音がすげーからって、アイツら僻んでんだよ!」
そんな日常の中で、なにひとつ変わらずに笑いかけてくれるのは飛鳥だけだった。
「飛鳥は嫌じゃないの?」
「なにが?湊音のこと?なんで?」
飛鳥はもっと子供の頃から自由奔放で、素直で、無邪気な奴だ。
近所の人からも「子供らしくて可愛い」とよく可愛がられていた。
「だってもし……俺が飛鳥が頑張ってきたものを奪ったら?」
そんな飛鳥を傷つけるのだけは絶対に嫌だった。
「悔しい!めちゃくちゃ悔しい!」
「飛鳥?」
飛鳥はまだ起こってもないことを想像して、腹を立てていた。
「だから俺は、悔しいって湊音に言うよ!次はぜってー負けないからって!そんでもし喧嘩なんかになったら、ごめんなって言ってまた仲直りする!」
勢いよく宣言した飛鳥は、顔をくしゃくしゃにして笑った。