【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
中学に上がってからは他の学校から来た奴もいて、頭がいい奴も運動出来る奴も多かったから特別浮いた存在にはならなかった。
「ねぇ、葉月くんって好きな子いる?」
「いつも一緒に帰ってるのって誰……?」
「幼なじみだけど?」
「なんだぁ……幼なじみだったんだね。よかったぁ!」
こういった類の質問はよくされて、双葉のことを言ってるってすぐにわかった。
「なぁ、葉月。スポーツテストで学年一位だっただろう?陸上をやってみる気はないか?このまま部活もやらないのは、先生はもったいないと思うんだけどなぁ」
それでもクラスメイトや先生からの羨望の眼差しは絶え間なく向けられて、誰かを傷つける引き金を引かないように考えてばかりだった。
だから、いつも息苦しかった。
「俺、陸上部に入ったんだ!棒高跳びっつーのやってみたら、すげー楽しかったんだよ!」
変わらずに飛鳥は俺の隣にいた。
怖かったけど跳べたとか、俺が一番出来ないとか、今日は失敗しただとか、ひたすら陸上の話を聞かされる日々。
日焼けした肌から覗く白い歯が眩しくて、飛鳥の隣にいる時はやけに居心地が良かった。