【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
何も絶対一位になってやろうと思っていたわけじゃない。
普段通り予習とテスト範囲を繰り返し解いてテストに挑んだ。
本当に、それだけだった。
「葉月といいます……」
小野寺がどうしているのか、心配と不安が拭えなかった俺は小野寺の家を尋ねた。
中から出来た小野寺の母親は、疲れきった顔をして覇気がない。
「葉月……?そう……あなたが。いつも一番をとる葉月くんよね?すごいわぁ、頭脳明晰で、オマケにとてもハンサムなのね」
小野寺の母親は作ったようにニコリと微笑んだが、目は少しも笑ってなんかいなかった。
「小野寺がずっと欠席してるみたいで」
気味が悪い程ニコニコとしてる小野寺の母親にそう切り出した直後。
「一番上から見下ろす気分はどう?」
「え?」
人間味を感じさせない能面のような表情で、俺を射るように睨んだ。