【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
ついに、小野寺は学校に来なくなった。
先生は「家庭の事情」と言ったっきりで、小野寺がどうしているのかさえも誰も知らないまま。
あれだけ人気者だった小野寺が姿を見せなくなったことに、疑念と批難の的は俺に向けられた。
「小野寺くん可哀想……」
「何でも出来るその能力が誰かを傷つけてるって……なんでわかんないんだよ、アイツ」
「空気読むとか、譲ってあげる精神とか、人としてって言葉を知らないの?」
「涼しい顔して人の大事なもん壊せるとか。だったら俺、このままバカな方がマシ」
「ちょっと怖すぎ。出来すぎて、本当に人間?」
───もう、どうだってよかった。
足元から壊れていくだけの世界はいつも真っ暗で、息さえ出来なくて、苦しくて。
未来さえ見えなかった。