【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「なぁ!ちょっと俺に付き合ってよ湊音!」
無気力な俺にいつだってこいつは嫌という程眩しい笑顔を向ける。
「ここ、棒高跳びの練習スペースだろ?」
「へへっ。まぁ見ててよ!」
連れてこられたのは、毎日飛鳥が跳んで落ちてを繰り返してる練習スペースだった。
訳がわからず立ち尽くす俺に、飛鳥はポールを握りしめて地面を蹴った。
そして、ポールを突きつけて飛鳥は空を飛んだ。
けど、バーにぶつかって、あっという間にマットに叩きつけられた。
「湊音も飛んでみてよ!すっげー気持ちいから」
「無理だろ。やったこともないのに」
「じゃあ俺とやろうよ!いいだろ?」
「……おい。陸上部なら俺は入らないって先生にも言ったはずだけど」
「んじゃ、今日から湊音は仮入部員!先生と部の奴らには俺から言ってあげるから!」
「はぁ?」
「だってさ?ほんの一瞬でも空飛んでるみたいですげー気持ちいんだよ!ちっぽけなこともどうだってよくなるくらい!」
「……」