【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「もし葉月が大会に出てくれたら、ウチの部の記録も更新だ」
「でもそうなると、選手から外されんのは瀬川だってみんなが話してたな?まともに成功したのなんて、数える程度だしよ……」
そんな言葉を、俺が仮入部という形をとらなくなったあとから、飛鳥はどれだけ浴びせられてきたんだろう。
滅多に跳べなくたって、飛鳥は楽しそうに空を見上げていたのに。
飛鳥の練習が終わるのを待っている間は、陸上部の奴からひっきりなしに誘いを受けた。
「湊音ー!終わったぞー!」
そこへ、練習を終えた笑顔の飛鳥が走ってやってきた。
「おっ!いいとこに来た。瀬川!お前はどう思う?葉月に大会に出てほしいと思わないか?」
「えっ……?」
やめてくれ。
飛鳥にそんなこと言わないでくれ。
「お前だって本当はもったいないって思ってんだろう?自分より高く跳べる葉月の方が、部のためにもなるって」
それが、来る日も来る日も跳び続けた飛鳥の心をどれだけ傷つけただろう。