【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡


「……葉月くんは、ちゃんとここにいるよ?」



確かめるように、羽澤が澄んだ瞳で俺を見つめる。



「葉月くんの手はとっても温かいよ」



いつもお前は、俺の壊れた気持ちも、本当の自分もその全部も。


どれだけ隠しても、



───“ ひとつ見つける度に、宝物を見つけたように嬉しくなったよ ”



「弱いところも、私はもっと知りたいよ」


「……っ、」



───お前だけはいつも俺を見つける。



「私だったらひとりになる勇気はないと思う。自分が傷つかないことに敏感になっちゃって、誰かの痛みには鈍感だと思うんだ。だから葉月くんはすごいね。誰かを守ろうとしてるんだもん」



なんの迷いもなく素直な気持ちをぶつける羽澤は、いつだって真っ直ぐで。



───“ でも、葉月くんの優しい心は、葉月くんがつくったものだよ ”



その真っ直ぐな気持ちが、少しずつ俺の心の輪郭をつくって……。



「けど、もう隠してもダメだよ葉月くん?」



羽澤が笑うとなんだって嬉しくて。

お前が傷ついてると、俺まで痛くて。



「だって、本当の葉月くんを見つけちゃったもん」



───どうしてお前は、そうやって俺の心をつくってくれるんだろう。



……ズルいだろ、そんなの。

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