【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
* * *
見つけたよ、本当の葉月くんを。
傷ついたような表情をした葉月くんの手を握ると、ふたりだけの温度が生まれた。
よかった……。
その手はとても温かいから、葉月くんはちゃんとここにいるんだって安心する。
「今度は、葉月くんが答えを見つける番だよ」
目を丸くした葉月くんの瞳が静かに揺れる。
「葉月くんは、ひとりになりたくてここにいたわけじゃないよね。本当は、飛鳥くんが大切だから、ここにいるんでしょう?」
葉月くんはいつも外の世界を見ていた。
調査を開始した時も、登校して来るなり、立ち止まった葉月くんの視線の先にはグラウンドがあって……。
「この資料室からよく見えるでしょ?」
「っ、」
「飛鳥くんが跳んでる姿」
私には隠せても、肝心な人には隠せてないよ、葉月くん。
だって飛鳥くんは、誰よりも早く、一番に、葉月くんを見つけていたんだよ。