【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
*ごめん、欲張りだから
大会当日の朝は見事なまでの快晴だった。
「うわぁ……すごい人だよ!葉月くん!」
「女子いすぎでしょ」
日曜日ということもあり、相変わらず圧倒的人気を誇る飛鳥くんを一目見ようと、多くの女子が集まっている。
熱い声援と視線は、飛鳥くんに注がれていた。
その度にクールビューティ詐欺を働く東条先輩がキッと睨みをきかせているではないか。
恐るべし詐欺師。
記録をつけてないで、私のブレザーのボタンをつけ直ししてもらいたいものだ。
「てか、これじゃ葉月くんの存在に気づいてもらえないよ!?」
「これだけ人がいたら仕方ないんじゃない?」
「ダメダメ……!飛鳥くんは、見に来てほしいって言ってたんだから!」
「なんでお前が張り切ってんの?」
ぷっ……と笑う葉月くんを見て、胸を撫で下ろした。
よかった。
葉月くんの表情がなんだか明るく見えるんだもん。