【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
ハッとした私が振り返るよりも早く、彼は私の横をビューンっと通り過ぎて。
「……は?なにしてんだよ、飛鳥」
振り向いた葉月くんの胸の中に、勢いのまま飛鳥くんが飛び込んで、ギュッと抱きついていた。
な、なんて大胆な……。
葉月くんは驚きながらも、状況を理解したらしく、飛鳥くんの頭の後ろに手を回して、息を吐いた。
「跳べた……俺。跳べたんだ」
「見てたよ?で、なんで飛鳥が泣いてんだよ」
「わかんねー。いや、わかる……かも」
「どっちだよ」
コツン、と飛鳥くんの頭を軽く叩いて葉月くんが笑った。
「湊音ごめん、俺……っ」
抱きついたまま、まるで小さな子供のように飛鳥くんが泣きじゃくっている。
「謝るのは俺。飛鳥が苦しそうにしてたのに、何もしてやれなかった」
ポツリと声をもらした葉月くんに、ぶんぶんと飛鳥くんが頭を振った。