【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡


「湊音がなんでも出来て、どんどん遠くに行きそうで。こんなこと言ったらダサいけど、寂しくて……それに……っ」


「悔しい時は悔しいって言うんじゃなかったの?」



まるで飛鳥くんの心の内を読み取ったみたいに葉月くんがクスッと笑う。



「……っ、悔しかった。湊音があんまりカッコいいから、すげー悔しくて……歯が立たなくて、いっぱいいっぱいで……」



うんうん……わかるよ飛鳥くん……。


カッコいいくせにからかい上手で、私も一度も勝ててないからすごくよくわかる。


雰囲気をぶち壊しにしてしまう恐れがあるので言わなかったけど、見ている私まで涙が出そうになった。



「でも湊音だってズルいんだからな……っ」


「は」


「あそこじゃ遠すぎだろ!今度あそこから俺のこと見てたら、資料室まで行くから!」



葉月くんからそっと離れた飛鳥くんが、必死に資料室を指さしながら訴える。



「ふーん。そんなにそばにいてほしいの?」


「……お、おう!」



葉月くん、その言い方はなんか違う意味で誤解を招く気が……。


でも、よかった。


ふたりが背中合わせのままだったらどうしようって思ってたから。

< 260 / 321 >

この作品をシェア

pagetop