【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
誰にだって譲れないものはあるし、時には間違えてしまうことだってあるよね。
だけど、下を向いたまま後悔するよりも、本当に大切なのは、それに気づいて再び向き合えた時だと思うんだ。
「飛鳥ってば、子供ねぇ」
「ゲッ……東條先輩!?」
いつの間に来たの!?
ふたりの姿を見守りながら溜め息をついている。
「なによその顔は?わたしが来ちゃいけないとでも言いたげね?」
陸上部のマネージャであり、ふたりの幼なじみなのだから心配して駆けつけてくるのは当然だけど……。
「隣にいきなり詐欺師が現れたらビックリするじゃないですか……!」
これはこの前の仕返しだ。
「またブレザーのボタン引きちぎられたい?」
「失言でしたすみません……」
東條先輩はふんっと腕を組んでみせたけど、その横顔は晴れ晴れとして穏やかだった。
「あ!そういえば、東條先輩はどうして葉月くんがあの資料室にいるって知ってたんですか!?」