【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡


私の質問に東條先輩は呆れ顔を向けてくる。



「な、なんですか、その顔は……」


「あなたって、噂じゃ探偵かって誤解されるくらい湊音のこと観察してたんでしょう?」


「だから探偵じゃな……」


「だったら、わたしが誰を熱心に見てたかくらい推理して当ててみなさいよ?」



え?

東條先輩が誰を熱心に見てるか……?



あの資料室に葉月くんがいることに気づいたのは、飛鳥くんで。


でも東條先輩はそれを飛鳥くんから聞いたわけでもないのに知っていたってことは……。



「東條先輩が観察してたのって、まさか飛鳥くん!?」



飛鳥くんの視線の先を辿れば資料室に繋がっていて、マネージャーをやっていることも納得がいくし……。



「その言い方だと不審者と勘違いされるじゃない。あなたと一緒にしないで」



不審者って、私のこと!?


ふっ、と笑みを浮かべて駆け出した東條先輩は、寄り添うように飛鳥くんの背中に手を添えたのだった。

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