【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
* * *
私と葉月くんは人の少ないところで飛鳥くんの表彰を見届けようと、中庭のベンチに座っていた。
素顔の葉月くんの存在に、再び女の子達が騒ぎ出すのは時間の問題だと思った私の提案だったのだけど。
「で?なんでお前まで泣いてんの?」
「うぅ……っ」
そりゃもらい泣きというか、ふたりが向き合えたことが嬉しくて、涙も鼻水も止まらないってもんだ。
「ふたりがこのまますれ違ってたらどうしよって……夢に葉月くんが出てくるくらい心配で」
「また勝手に俺のこと夢に出演させないでくれる?」
「勝手に出演してきたのは葉月くんだよ!しかも夢の中の葉月くんは、近づこうとしたら私からどんどん離れてくんだよ……?」
ぷっ……と葉月くんが軽く吹き出した。
「じゃあ、それは俺じゃないよ?」
「う、ううんっ!絶対葉月くんだったよ!?」
間違いない!と私が頑なに訴えてみせると。
「俺なら離れてくんじゃなくて、お前のこと捕まえてると思うんだよね」
「っ、!?」
葉月くんはクスクス笑いながら、私の顔を覗き込んでくる。