【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡


なんだか顔色がよくないんじゃないかな。



「頼んだぞ及川!お前が主役なんだからな!」


「宝石も見つかったらしいし、よかったよな!」



それは、葉月くんが見つけてくれたものだ。


そう言えたらいいのに。

周囲の男子は至っていつも通りに接している。


衣装を手にした及川くんが教室を出ようとしたその時だった。



「お、おい……っ!」


「なにしてんだよっ、葉月!」



え……?

男子が葉月くんの名前を呼んだことに驚いて、慌てて顔を上げた。


だって、今まで葉月くんの名前が呼ばれることなんて一度もなかったから。



「及川はこれから着替えなきゃなんねーんだぞ!?」



どういうわけだか、葉月くんの手はしっかりと及川くんの腕を掴んでいた。



「ちょ、ちょっと……葉月くん!及川くんを、どこに連れていくつもり!?」



教室中が騒然とする中、葉月くんは一切なにも言わずに、及川くんを引っ張って教室から姿を消した。

< 270 / 321 >

この作品をシェア

pagetop