【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
なんだか顔色がよくないんじゃないかな。
「頼んだぞ及川!お前が主役なんだからな!」
「宝石も見つかったらしいし、よかったよな!」
それは、葉月くんが見つけてくれたものだ。
そう言えたらいいのに。
周囲の男子は至っていつも通りに接している。
衣装を手にした及川くんが教室を出ようとしたその時だった。
「お、おい……っ!」
「なにしてんだよっ、葉月!」
え……?
男子が葉月くんの名前を呼んだことに驚いて、慌てて顔を上げた。
だって、今まで葉月くんの名前が呼ばれることなんて一度もなかったから。
「及川はこれから着替えなきゃなんねーんだぞ!?」
どういうわけだか、葉月くんの手はしっかりと及川くんの腕を掴んでいた。
「ちょ、ちょっと……葉月くん!及川くんを、どこに連れていくつもり!?」
教室中が騒然とする中、葉月くんは一切なにも言わずに、及川くんを引っ張って教室から姿を消した。