【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡


「な、なんだあれ!?主役の及川をどこに連れてったんだ!」


「嘘……どうしよう。これじゃ、劇が出来ないじゃない!」


「マズくない?準備して体育館に行かないと、間に合わなくなる……」



衝撃が教室に走り、みんなが一斉に慌てだした。



「どうすんだよ!時間もねぇってのに、及川のこと拉致するとかありえないだろ!」


「葉月の奴……まさかぶち壊すつもりじゃねーのか?散々、陰キャ総選挙第一位とか言われてきたから、俺らのこと恨んでんだろ……」



違う、葉月くんはこの日のために頑張ってきたみんなの努力をぶち壊したりするような人じゃない。



「なによそれ。ひどいよそんなの!今日の文化祭どうなるのよ……!?」


「だいたい総選挙なんてだいぶ前のことだろ……」



矢継ぎ早に飛んでくる葉月くんへの批難の声。


ひどいのはどっちなんだと私は思う。


外見だけで判断して、そんな誰も喜ばない総選挙を始めたことの方がひどい。


たとえ葉月くんが自らそうなることを望んでいたとしてもだ。

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