【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
でも、今はそのことで争っても無駄で。
葉月くんを知らないから勝手なイメージが膨れ上がって、誤解が生じてしまうこともある。
たがら、葉月くんのことを知ってほしいと思ってしまう。
それは私の独りよがりで、葉月くんはこんなことを望んでいないかもしれない。
……だけど。
「葉月くんは、そんなことするような人じゃないよ」
自然と、言葉になった。
「はぁ?元カノだからって、庇ってんじゃねーよ」
みんなの視線が一気に私へと集中する。
「絶対、葉月くんはそんなことしない。クラスのみんなのことだって、すごくよく見てるんだよ」
「あの葉月が?んなわけないって」
「ホントだよ。日誌だってすごく細かいことまで書いてあるよ。球技大会の時も、押されてたけどあのスリーポイントで点差は縮んだよね」
本多くんは、罰が悪そうに目を伏せた。
「及川くんの探し物は……」
一所懸命、大切に作った小道具係りの女子が不安そうに私を見ている。
「ホントは私が見つけたんじゃない。あの日、葉月くんが見つけてくれたんだよ」
「え……あの雨の日?葉月が?」
驚いた様子で問いかけてきた咲希ちゃんに頷いてみせた。