【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡


「今度からはあらかじめ代役も決めておこ?」



そんな助言をされた監督の女子は「次回から主役は葉月くん一択」と頷いて、惚れ惚れしている。



「葉月……お、お前コンタクトの方がいいだろ絶対!」


「誰だ!陰キャ総選挙なんてやったのは!」


「お前だろお前!」


「いやあの……わ、悪かったよ葉月……」



そんな男子達に声をかけられて、葉月くんがクスッと笑っている。


こんな風に、いつかみんなに囲まれる日が来るなんて、あの頃は想像もしていなかった。


だから少しだけ、その後ろ姿を見ていたら寂しくなる。


でも、葉月くんが望めば、優しい世界はちゃんとここにあったよね。



……よかった。

葉月くんがそれを見つけられて。

< 278 / 321 >

この作品をシェア

pagetop