【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「ひとりだけちゃんと気づいてたけど?」
「え?ひとり?ちょ、それって誰……!?」
「秘密」
葉月くんはわけがわからないといった顔をした女子の元を離れると、呆気に取られた私の隣へとやってきた。
「葉月くん、ほんとに大丈夫……!?」
さっき素顔を見せたばかりなのに、もうあの状態だもん。
「台詞なら覚えてるよ?」
「ち、違うよ……っ、」
「じゃあなに?」
「だ、だから……女の子の注目を浴びてるし、観客の人だって、葉月くんの代役見たさですごい集まって……」
「心配?」
「心配っていうか……この先、女の子に囲まれることになるかもしれないし……」
壁にピタリと背中をくっつけて、私は俯いた。
「妬いてんの?」
「っ、や、妬いてるって、私が!?」