【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「で!?アドリブなんでしょう!?」
「あ、アドリブだったのかな……?」
「とぼけてるわね!?琴莉ってば羨まし……じゃなくて、ズルいじゃない!」
そのアドリブとは、葉月くんが私に宝石を託した時、「いってらしゃい」と言ったことを言っているのだ。
当然、台本にはない台詞。
私はその時、本番前の葉月くんとのやり取りを思い出してしまって……。
たった一言の“ちゅんちゅん”さえも忘れてしまったのだ。
王子の代役を務めた葉月くんを一目見ようと、廊下にも集まり出した女子の数はどんどん増えてってるし……。
「ねぇ、葉月くん!わたしもっと葉月くんのこと知りたいな」
「わたしも。いままで話したことなかったし」
うぅ……。
このままだと本当に葉月くんがモテすぎることになっちゃうんじゃ……。