【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「どこがよ。無口で喋ってるとこも見たことないし。そもそも、クラスの誰も注目してないと思うのよね」
「私はしてるよ!それはもう芸能人の不倫ニュースなみに!」
「……」
咲希ちゃんは自慢のロングヘアを耳にかけると、大きな溜め息をついた。
「……じゃあ、琴莉がそこまで葉月に裏があるって思う根拠はなんなの?」
ほれほれ、と机を叩いて咲希ちゃんが聞いてくる。
「あのね、まず気になったのが入学式のことだよ!」
「入学式?あー、ごめん。わたし、体育祭が終わるまで葉月の存在にすら気づかなかったわ」
クラスメイトと親睦を深めようって気はないの……?
「えと、とにかく入学式の時に、新入生代表の挨拶を葉月くんがしてたでしょ?」
すなわち、葉月くんは首席で入学した頭脳の持ち主なのだ。
「言われてみれば確かに。ステージに地蔵かなんか置かれたのかと思ったけど、葉月だったわね。なに喋ってんのか、全然聞き取れなかったけど」
幼稚園の頃から変わらず辛辣な咲希ちゃんだ。
遠慮がまるでない……。