【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
私の身体は強引に壁に押し付けられたまま。
「探偵のくせに隙だらけだよ?」
葉月くんは私を閉じ込めるように、両手を壁につける。
「……葉月くんっ、いきなりこんなの卑怯だよ!」
「追いかけてきたのは羽澤でしょ?」
「……私はただ、葉月くんに聞こうと思って」
「なに?謎でも解けた?」
ん?と、顔を傾けて、鼻がぶつかりそうな距離まで詰め寄る。
挑戦的で意地悪な顔に、葉月くんと息が触れ合う距離に、たちまち心臓が狂ったように暴れ出す。
「も、もしかして葉月くんは誰かと密会してるんじゃないかなって……だから、それでバレるわけにはいかないから素顔を隠してるのかもしれないって……」
「こんな風に?」
「っ、こ、これは葉月くんが無理やり引っ張ったから!」
人の気持ちもお構いなしに、葉月くんがクスッと笑う。
「羽澤が俺にベタ惚れってホント?」
「……違っ、あれは勝手に噂されてて」
必死に否定しても葉月くんの追求は止まない。