【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
* * *
「その情報合ってんの?」
「念入りに調べたから間違いないはずだよ!S県H市って書いてあるからね!」
自分が住んでる場所以外にもそれが当てはまるって考えはないのか……。
挽回する気満々の琴莉と向かったのは、学校の裏側にあるトンネルだった。
住宅街から程遠く、茂みに覆われたそのトンネルは交通量も少ない。
まず滅多に人とすれ違うことはないと思う。
ゴクリ、と隣で琴莉は息をのんだ。
「引き返すなら今のうちだよ」
「……まさか!も、もしかして……葉月くん、怖くなっちゃった!?」
誰に向かって言ってんの?
「……ったく。それはお前だろ」
「大丈夫大丈夫!だって……ここはただの!トンネルだからね……!?ただの!うん……よし!早く行こうよ葉月くん!」
怖くないって暗示でもかけてるのかな?