【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「おお……っ、さすが、ガチでヤバいっていうだけあるよねっ!」
「ただのトンネルだろ」
思い込みって本当にすごいね、なんて本気にしてる琴莉には言わないけど。
当然だけどトンネルの中は暗く、歩道もない。
くすんだ色の灯りはところどころ切れていた。
「このトンネルは、半分くらい通過すると、頭痛がしてくるんだって……!」
「へぇ。さっきから頭が痛いのはそのせいってことか」
「えぇ……!?」
なんてね?
俺の頭痛は寝不足なだけ。
「葉月くんごめんね……っ、私のせいでもし、変な何かが憑(つ)いてきちゃったら……」
どうしよ!と、今にも泣きそうな顔をする琴莉に笑みがもれる。
「なんで謝るわけ?」
「だ、だって……私のせいで葉月くんに……」
「俺じゃなくて、琴莉に憑いてきちゃうかもしれないのに?」
「……」
あ、ちょっとやりすぎた?