【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡


「早くこのトンネル抜けた方がいいんじゃない?」



もう声にもならないのか、琴莉はすごい勢いで頷くと早足で歩き出した。



「ぎゃああぁっ……!!」


「なに」


いきなり悲鳴をあげて、俺の身体に密着する琴莉。



「い、い、今悲鳴が聞こえたよ!?」


「自分の悲鳴でしょ」


「違う違う!!上から聞こえたの!」


「このトンネルの上は電車が通ってんだからその音だろ」」


「それにほら……っ、あそこに黒い染みが出来てるし……昔ここで事件とかあったんじゃ……」


「さっきから視線感じるのはその時の霊が俺らを見てるからだったんだ?」


「……」



あ、やばい。

琴莉が本当に気絶しそうだ。


自分で自分のこと怖がらせて、俺のイタズラ心を煽ってるとか微塵も思ってないんだろう。


さすがに可哀想だから、及川が実はめちゃくちゃ怖がりだって話をしながら、出口へと琴莉を連れ出した。

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