【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
* * *
トンネルを抜けて歩いていると、琴莉が急に立ち止まった。
「あれ……?こっちって、葉月くんの家の方に繋がってるんだね!?」
「そうみたいだね」
俺が誘導したんだよ、とは言わずにすっとぼけておく。
「じゃあ、私……こっちだから……」
また明日!と、必死にまだ怖い気持ちを隠した琴莉が踵を返そうとした。
「なにいってんの?」
「えっ?」
「散々俺のこと避けといて、タダで返してもらえるとか思ってるわけ?」
「タダ!?そ、それは心霊スポットの調査が難航してたからで……ごめんね、葉月くん?」
「ダメ」
「へっ!?ちょ……、待って……!?」
「待たない」
慌てふためく琴莉の手を掴むと、強引に家の中に連れ込んだ。