【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「やだ」
「な……っ!?」
やだって、葉月くんが困るくせに!
ふわっと瞳を緩める葉月くんは、意地悪っぽく、でも少しばかり優しいような、曖昧な瞳で私を見つめる。
「こんなもんない方が、お前の顔よく見える」
「も、もう、なに言ってんの……っ!」
冗談ばっかり!
どいて、と葉月くんの胸を両手で押し返そうとしたのに。
「捕まえた」
「……!?」
メガネを私のワイシャツの胸ポケットに差し込むと、抵抗する私の両手を、葉月くんの両手がいとも簡単に拘束する。
「誰かに見つかるかもね?」
「そんなことになったら困るのは葉月くんでしょ!?」
「今の俺を見ても誰も気づかないんじゃない?」
「確かに別人だけど……っ。なんで、こんなことするの?困ることになるよ!?」