【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
ひょこっと、咲希ちゃんとクラスの女子が多目的室に顔を覗かせた。
「っ、えっ?ちょ、琴莉……!?」
「きゃっ……!!羽澤さん!?」
お、終わった……。
“裏”葉月くんが私を壁に追いやって、両手を拘束しているところをガッツリ見られてしまったのだ。
「だっ、誰!?イケメンすぎるんだけど!!」
それに、咲希ちゃんがイケメンの存在を見逃すはずがない。
「違うの……っ、これにはわけが!」
口をあんぐりと開けている咲希ちゃんの顔がめちゃくちゃ興奮している。
言い訳が出てこない私が困り果てていると。
「───ごめん。人違いだった」
……と、私の胸ポケットからメガネを抜き取ると、隠すように手に取った葉月くん。
誰も聞いたことのない“裏”葉月くんの存在と声に、圧倒される咲希ちゃん達の横を通り過ぎて、多目的室を出ていった。