【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「男子が勝手に決めたって話してるの聞いちゃったんだった!それで……」
「早く言ってよ」
「……い、今思い出した」
葉月くんを追いかけて、夢中で、完全に頭からすっぽ抜けてた。
「わざわざそれ伝えようとしたってこと?」
「……うん。だってバスケなんて激しい動きしたら、葉月くんの大事なメガネが吹っ飛ぶことになるかもしれない……っ!」
そんなことになったら、あの多目的室の謎のイケメンが葉月くんってバレるし、色んなことを追求されて、葉月くんだってきっと困る!
すると、葉月くんが小さく吹き出した。
またバカなことを言ってるって、呆れられるんじゃないかって思ったけれど。
「ありがとう」
予想と反した言葉に、ドキッと心臓が音をたてる。
“裏”葉月くんらしくない優しい表情でお礼を言われて、私の方が固まるはめになった。
「でも心配無用だよ」
偶然知った葉月くんの隠れ家で、どういうわけか自信たっぷりなその声に、私はうん、と微かに頷いた。